一級建築士過去問、計画H28-03のイラストを制作しました。
どんな問題?
歴史的な建築物がテーマで、それぞれの建築物がもつ特徴と、建築史としてどの時代の建築様式が用いられているかが問われた問題になっています。ここで紹介しているどの作品も、過去数回に渡って出題されており、重要な建築物です。
ハギヤ・ソフィア大聖堂
トルコのイスタンブールに建つビザンチン建築の代表作
バシリカ形式とドーム集中形式を融合させた平面と、中央に直径32.6mという巨大なペンデンティブドームによる広大な内部空間をもつビザンチン建築の代表作です。トルコ語で「聖なる英知」を意味するアヤ・ソフィアとも呼ばれます。
乱による消失や、地震による崩壊など数回にわたる受難の度に債権され、生まれ変わり現在は博物館として使われています。
バシリカとは、古代ローマの裁判所や商いの取引場を備えた公共建造物のこと。
満月の色と、夜の空のくすんだ青の組合せはお気に入りです。ハギヤ・ソフィア大聖堂の淡い赤が引き立ちます。歴史的な建築物に関する問題は、建築史の流れとともに出題されることが多いので、建築様式の帯を添えました。イラストごとに帯をおいながら建築史の流れを身に着けてほしいと思います。
コルドバの大モスク
キリスト教とイスラム教文化が交わる紅白縞模様のアーチ空間
コルドバは、スペイン南部のアンダルシア州の都市のひとで、大モスクの建設当時はイスラム帝国の首都でした。イスラム建築様式のこのモスクは、その後増築されキリスト教の礼拝堂が建て込まれ、現在では、キリスト教徒とイスラム教文化が交わる、世界遺産として知られています。コルトバの大モスクはメスキータとも呼ばれます。メスキータとは、スペイン語でモスクという意味です。
何と言っても特徴的な、紅白縞模様のアーチ。そして外観のイメージを伝えるために、川を挟んでローマ橋越しに眺めるイラストも制作しました。
ピサ大聖堂
斜塔で有名なロマネスク建築のピサ大聖堂
物理学者ガリレオ・ガリレイの出身地でもあるイタリアの都市ピサ。ここにある大聖堂はイタリアを代表するロマネスク建築の遺構。大聖堂の周囲には礼拝堂、斜塔、カンポサント(共同墓地)など魅力的な建築群が並ぶ。
大小3棟のバシリカを結合したラテン十字形の平面をもち、会堂部は身廊の両側に二列ずつの側廊を設ける「5廊式」会堂部と直行する袖廊部は「三廊式」式となっています。
有名な斜塔は、工事中に地盤地下が始まり、それでも工事が続行され、1350年頃に完成。その後も地盤沈下は進み1990年に地盤の改良工事を行い傾斜の進行と防止しました。1階の外壁と、7階の軒先は4m以上も離れており、とても不思議な建築となっています。
有名なピサの斜塔。大聖堂と斜塔どちらも細やかなアーチや柱のイラストに苦労しました。実際の斜塔は地盤沈下が進む中、傾斜を修正しながら建てられたので、真っ直ぐではなく湾曲しています。斜塔は地盤の重要性を伝える建築でもあります。
フィレンツェ大聖堂の大ドーム
世界最大級の石積ドームをもつ初期ルネッサンス様式の大ドーム
イタリア中部の都市フィレンツェの街並みのシンボルである世界最大級の石積ドーム。ブルネレスキによるこの大ドームは、ルネッサンス建築のはじまりとされています。
ドームがのる聖堂は、ゴシック建築のサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂で、この上にドームを増築するというコンペをブルネレスキが勝ちとり、その案をもとに、1420年~1461年にかけて建造されました。高さ55m~120m、内径43m八角形の二重殻で構成されています。
ルネサンスとは、「再生」や「復活」を意味するフランス語で、14~15世紀にイタリアを中心とした大きな文化、芸術運動こと。
大聖堂の背景にあるモザイクは、フィレンツェの街並みを色どる建物の屋根と外壁をイメージして作成しました。フィレンツェの街並みはユネスコの世界遺産に登録されています。
ヴォルムス大聖堂
ドイツのロマネスク建築を代表するヴォルムス大聖堂
ライン川沿いにあるドイツ連邦共和国の都市、ヴォルムス。その中心にあるヴォルムス大聖堂は、シュパイヤー大聖堂、マインツ大聖堂と並びドイツロマネスク建築を代表する作品です。
東西両端にアプスを対置させた二重内陣と、身廊の両側に側廊を設けた三廊式で構成されたバシリカ形式の教会堂です。東西の内陣と交差部とに6つの塔をもつのが特徴です。
堂々とした外観と6つの塔が並ぶヴォルムス大聖堂の特徴を伝えるような構図を選んで制作しました。淡い朱色の濃淡で外観の立体感をつくっています。
まとめ
ビザンチン
イスラム
ロマネスク
ロマネスク
ルネサンス
この問題の建築作品はどれも数回に渡って出題され、建築士、建築史にとって重要な作品群です。まとめとして、年代が古い順。建築様式について並べています。