P H22-02 日本の歴史的な建築様式と特徴

一級建築士過去問、計画H22-02のイラストを制作しました。

神明造り

伊勢神宮に代表される古代神社建築の様式のひとつ、神明造り

伊勢神宮は正式には「神宮」といいます。切妻屋根の平側(桁方向)に入口のある平入形式。最古の神社建築様式のひとつとされる神明造りです。根本を地中に埋めて立てた掘立柱や妻側に独立して棟木を支える棟持柱、屋根の千木や堅魚木などの特徴があります。

伊勢神宮といえば式年遷宮が有名です。二つの細長い敷地で、20年ごとに交互に社殿を造替えし、神体を移すこの行事は1300年以上にわたって続けられています。

天竺様(大仏様)

「天竺様(大仏様)」と「あま組み」、 「唐様(禅宗様)」と「詰組み」

天竺様(大仏様)は、 東大寺の大仏殿などの大規模な加工のための技術として導入されました。柱と柱は抜きなどの横架材で繋がっている。軒の荷重は柱に差し込んだ挿肘木と呼ばれる部材で片持ち梁のように支持される構造となっています。代表例として浄土寺浄土堂東大寺南大門などがあります。

天竺様(大仏様)では、組物を柱頭に配置されるあま組み(阿麻組み)が用いられる。

浄土寺浄土堂は、浄土信仰に基づく阿弥陀堂で屋根の反りがないシンプルな外観をもち、内部は朱に塗られた柱や屋根の架構が特徴的です。西日の採光のために外壁部分は蔀戸(しとみど)とみになっています。

(参考)

詰組みは、組物が柱の中間(柱間)にも配置され、唐様(禅宗様)の特徴。

BANKO氏
BANKO氏

大仏様の建物は、珍しく東大寺の南大門と浄土寺浄土堂の二つしか残っていいないそうです。あま組は天竺様の特徴の一つ。天竺様の天(あま)→あま組と関連つけて覚えましょう。

唐様(禅宗様)

扇だる木」「海老虹梁」「火灯」を特徴とした唐様(禅宗様)

唐様(禅宗様)は、鎌倉時代に宋から伝来した寺院建築の様式の一つで、円覚寺舎利殿(鎌倉市)に代表される。唐様の特徴として、上部が曲線をなす開口部である火灯(火灯窓)、高さの異なる柱を繋ぐ海老虹梁、建物の中心から外へ扇状に広がる扇垂木などがあります。

寝殿造り

「寝殿」「対屋」「釣殿」などを「渡殿」で結ぶ、平安時代の寝殿造り

寝殿造りは、平安時代に発生した貴族住宅の様式で、寝殿や対屋を渡殿と呼ぶ屋根付きの渡り廊下で連結されています。中央に位置する寝殿は主人の居住のほか、儀式行事にも用いられ、寝殿の左右や後ろに独立して立つ対屋は、住居の用途に使用されました。

日本三景、そして世界遺産にかぞえられる厳島神社社殿。海に浮かぶように海浜に設けられた厳島神社は、宮島や弥山といった自然美と社殿の人工美が独特の景色をおりなしています。屋根の前後を吹き下ろしにした「両流れ造り」、回廊で本殿、幣殿、拝殿、祓殿がつながった「寝殿造り」などの形式をもっています。厳島の由来は「神霊が斎(いつ)く島」。

まとめ

神明造り 「堅魚木」「千木」 (例)伊勢神宮正殿

天竺様(大仏様) 「あま組み」 (例)浄土寺浄土堂

唐様(禅宗様) 「詰組み」「扇だる木」「海老虹梁」「火灯窓」 (例)円覚寺舎利殿

寝殿造り 「寝殿」「対屋」「釣殿」「渡殿」 (例)厳島神社社殿

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