P H23-03 建築物の保存、再生、活用

一級建築士過去問、計画H23-03のイラストを制作しました。

どんな問題?

この問題は建築物の保存再生に関する問題です。日本初のファサード保存の事例から、重要文化財特別型特定街区制度特例容積率適用地区制度などの社会的な取り組みから再生された建築物や、日本に残る希少なF.L.ライトの作品など、どの設問も日本の建築物保存・再生の事例として重要な作品ばかりです。

中京郵便局(京都郵便電信局)

日本初の「ファサード保存」により、現在も活躍中の中京郵便

中京郵便局は、1902年の建てられた白いコーナーストーンで装飾された赤い煉瓦造りの2階建のネオ・ルネサンス様式の洋風建築です。一時取り壊しが決定されるものの、市民運動などにより、1978(昭和53)年に日本初の「ファサード保存」の事例として再生されました。ファサード保存は、外壁部分を保存し内部を改築した保存方法です。この事例から、全国へファサード保存が普及し、中京郵便局はその先駆けとなりました。

BANKO氏
BANKO氏

中京郵便局は、レンガ建築のなかでも額縁のような白いコーナストーンが印象的なので、コーナーストーンを少し大きめに表現しています。現在も郵便局で使用されていることを伝えるために、手紙のモチーフを使っています。

三井本館

『重要文化財特別型特定街区制度』を適用して、超高層ビルと一体的に再生された三井本館

三井本館は1929年に建設された地下2階、地上7階建ての鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物で、国の重要文化財に指定されている。東京都の重要文化財特別型特定制度の適用を受け、2005年に隣接する敷地に超高層ビルと一体的に再生されました。

重要文化財特別型特定制度は歴史的建造物の保存と都市の開発を目的とし、指定区域内に新築される建築物は、特定街区制度による既存建築物からの容積の移転と割増しだけでなく、更に重要文化財の三井本館部分の床面積など考慮し、割増しを受けられる制度です。

BANKO氏
BANKO氏

建築物の再生と活用をテーマにした建築作品において、過去と現在の使われ方はとても大事なので、このような事例に関しては、before/afterの形を取って、用途の推移が分かるように表現しています。

自由学園明日館

現存する希少なF.L.ライトの建築自由学園明日館

自由学園明日館は、フランク・ロイド・ライト遠藤新が設計した木造漆喰塗りの校舎で、中央棟を中心とし、左右に東教室棟と西教室棟というシンメトリな構成をしています。旧帝国ホテルの設計で、来日中のフランクロイドライトに設計が依頼され、帰国後はライトの弟子である遠藤新が引き継がれ完成。

1997年の国の重要文化財の指定を機に1999年から約3年にわたって耐震補強などの改修がなされ、現在、結婚式やパーティーにも利用されています。

現存するライトのアメリカ国外の作品で、ほぼ完全なかたちで現存しているライトの建築作品は「ヨドコウ迎賓館」と、この「自由学園明日館」のみです。

BANKO氏
BANKO氏

木造漆喰塗りの校舎が空の色に映えるように、校舎の色を選びました。中央棟の特徴的な細工が入った窓が苦労した点です。

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東京駅丸の内駅舎

特例容積率適用地区制度で蘇った辰野金吾設計の東京丸の内駅舎

東京駅丸の内駅舎は、1914年に創建された辰野金吾が設計した駅舎であり、赤レンガを基調に、水平垂直に白石の帯が走る辰野式とも呼ばれるファサードが特徴的です。1945年に戦災で、南北のドームと屋根内装を焼失。戦後に3階建てを2階建に縮小して修復され使用されてきました。2000年に特例容積率適用地区制度の適用を受け、2012年に創建当時と同じドームを持つ3階建ての建築物に復元されました。また耐震性向上のため免震レトロフィットも採用されいます。

特例容積率適用地区制度のは対象地区内の歴史的建造物や文化的環境に寄与する建築物を有する敷地に対し、未利用部分の容積をほかの地区内にある別の敷地の建築物に移転して有効活用を図る制度です。

BANKO氏
BANKO氏

東京丸の駅駅舎はBANKO氏の作品の中でもボリュームが大きい作品となっています。細部が多く大変な作品でしたが、繰り返しのパターンが使えるので、意外と早く制作できた、お気に入りの作品です。

まとめ

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